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神の子供
¥300
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神の子供 著者:西岡兄妹 太田出版 五味伸之です。 福岡で無倣舎という舞台ユニットの活動をしています。 残酷動物キグルミ劇「このちのいのちのこ」という、 キグルミを着て残酷表現を行う演劇を行う時にこの本を読みました。 舞台で起きていることは現実でありつつ、嘘っぱちという二つの世界がつねに重なっています。 最近どうも世間が、社会がぶっそうで、空にはミサイルが飛んでいます。こんな時に、生まれてくる子供たちの希望はなんだろうかなぁ。 ということを考えている時に、この本を見つけて購入しました。 神の子供は出産のシーンがあります。殺害のシーンがあります。陵辱のシーンがあります。それらが西岡兄妹の端正で冷たく細い線で描かれています。 言葉は人間の発している声ではなく、世界を記述するように、画面の中で起きている出来事と距離を取りながら配置されています。 聖なる雰囲気があり、白と黒の画面でありながら、血の赤、精液の白、輝く光を感じるようになっています。言葉と絵の絶妙なバランスによって成功しているといえます。西岡兄妹の大人の残酷絵本の手法が活きています。 登場する人物や世界は異国の様子を持っているのですが、 ジャングルジムや和式トイレなど、日本を感じるオブジェクトが配置されており、遠い出来事なのに、近くの現実というような悪夢が全体を覆っています。 西岡兄妹の本は、ずいぶん初期の「心の悲しみ」という本を読んでいたのですが、その時はエドワードゴーリーのような、ユニークな悪夢という印象でした。具体的な物語というよりも手法や詩的イメージが先行していました。 今回の神の子供では、物語がしっかりとあり、現実との向き合わせ方というようなものを感じました。 画面構成の余白の塩梅も心地よく、眺めているだけでも楽しめる本になっています。 太田出版 本の状態:良好
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植物はなぜ動かないのか〜弱くて強い植物のはなし〜
¥300
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植物はなぜ動かないのか 弱くて強い植物のはなし 著者:稲垣栄洋 出版社:筑摩書房 ちくまプリマー新書 自然界は弱肉強食の厳しい社会だが、弱そうに見えるたくさんの動植物たちが、優れた戦略を駆使して自然を謳歌している。 植物たちの豊かな生き方に楽しく学ぼう。 <目次より> 第一章:植物はどうして動かないのか? 第二章:植物という生き物はどのように生まれたのか? 第三章:どうして恐竜は滅んだのか? 第四章:植物は食べられ放題なのか? 第五章:生物にとって「強さ」とは何か? 第六章:植物は乾燥にどう打ち克つか? 第七章:雑草は本当にたくましいのか? ※各章の終りには、その章でのまとめが書いてあります。素早く読みたい方にもオススメです。 生き方・コミュニケーション・コミュニティのあり方を読むことができます。 五味伸之です。 この本は、動物残酷キグルミ劇を作っている時に参考にしていました。 動物・残酷ということで、「食べること」について知りたくて本を探していました。 この中の、 生物にとって「強さ」とは何か? という項目があるのですが、 生物は、生き延びて行くことがなによりの強さ。 そのために、より他が見つけていない居場所を探し出し、 オンリーワンであり、ナンバーワンでいる場所を探しています。 花屋のように、誰も守ってくれないのが自然の世界。社会というものということです。 そして、植物の種を運ぶ動物も植物と共に進化して生きます。 他の動物が手にできないものを手にすることができるように、 行動方法・体つき・栄養処理方法など、様々な状況を作って生きています。 この進化は、どちらが先ということは書かれていません。 セレンディピティーという同時的シンクロのようなものかと思っています。 この本を参考に、「残酷動物キグルミ劇」というキグルミ劇を行いました。 人間と動物の違いをできる限り無くしていくことと、 変化して行くことのできる劇場という世界でのからだについて。 演劇においても、 観客との関わり方は変わって来ていて、 観客が見ていることで想像する変化が先か、 演者が変化して行くのが先かは、 わからないものです。 仕事のあり方も、どんどんと変わって来て、 人との関わり方も、どんどんと変わって来ています。 コミュニティ・コミュニケーションの本としても読むことができます。 オススメ本です。 ぜひぜひ! 本の状態:悪
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人間の記憶のなかの戦争
¥1,000
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核戦争の脅威下にある20世紀後半の世界においては、本書のような古典的戦争の示す姿は、out of dateに見えるかもしれない。しかし、そうではない。戦争の形態は時代によって異なるが、ヒトという生物の生物学的・心理学的・社会学的側面では、ずっとつながりがあるのだ。本書はそうした意味で、現代人の認識のための一資料として役立つことをねがっている。 (本書表紙裏文章より) 五味伸之です。 この本は「残酷動物キグルミ劇「このちのいのちのこ」」という、 動物の着ぐるみを着て行われる残酷演劇の時に参考資料として購入しました。 残酷表現・残酷演劇をしたのは、 語ることのできない状況を感じたことが大きな要因です。 震災以後、あらゆる現場で議論や立場の違いというものを明確に示すことがうまれてきたように感じていました。 今はその上で、じゃあどういうように異質なものが隣り合う?ということを話す機会も増えてきたと感じていますが、ある時期 賛成・反対、○○派、○○主義など、 スタンスの違いを示すだけのような無駄な、まったく無駄な時間があったように思います。 その時の語ることのできない状況。というのが、 血の噴出や、内臓の破裂などといった、残酷演劇に当たりました。 ジョージ秋山「ラブリンモンロー」という豚を主人公に展開される動物に戯画化したナチスとの戦争を描くことに関心がありました。 動物にすることで、過激な表現がどうどうとまかり通るのです。自分と違う存在は、どういうことをしても構わない。といったような残酷さ。 本書「人間の記憶のなかの戦争」では、 カロ、ゴヤ、ドーミエといった画家たちが描いた戦争の絵が載っています。 この中に、デッサンで描かれていたものが、版画では修正されていたり、画家がどのようにこの現実を表すかに苦心している姿が見えます。 さらに、本書の後ろには<戦争・平和>語録が載っています。東西問わず、様々な人の戦争への言葉が載っています。 みすず書房のあとがきのはじめはこのように書かれています。 「戦争を主題とする本を編むのは辛い。」 誰一人として、望んでない。 そう信じたいものです。 みすず書房 古本状態=普通〜ちょい悪
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地獄絵大全
¥500
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地獄絵大全 日本人は何を恐れ、 何に救いを 求めてきたのか⁉︎ 五味伸之です。 この本は「残酷動物キグルミ劇「このちのいのちのこ」」という、 キグルミを着て行う残酷演劇の時に購入しました。 残酷劇なので、血が吹き出たり、内臓が噴出したり、腫瘍が溶けたりというグロテスク表現が必要なので、そのことの材料として。 それと、残酷がなぜ必要なのか。ということを考えるきっかけとして購入しました。 僕は演劇の創作と、演劇お化け屋敷というものも行なっています。 お化け屋敷なので、当然幽霊や、死者がたくさん出てきます。 普段目に見えないものを目に見えるようになる。ということは、それだけ、異界とのコンタクトが取りやすい状態ということです。 この地獄絵大全では、仏教・日本の地獄観が多くのビジュアルと共に紹介されています。 2017年の僕たちがこの絵を目にすると、当然恐ろしいですが、いわゆるリアルな写実表現とは少し違うデフォルメがあるので、 想像力を刺激して、「嫌な気持ち」になります。 現世は二番目に良いところとされていて、 苦しみもあるが、快楽もある。 けれど、快楽のみを追求していると、来世ではもっと苦しみのある世界にいく。 とされており、 現世での生き方の戒めとされています。 このほか、ありとあらゆる罪と罰が書かれています。 専門書というよりは、 簡易に大枠の地獄観を知りたい方にオススメです。 なにより、絵が多い。 絵の大きさと配置のリズムが良いので、するすると読み進めれます。 127P 発行=洋泉社 古本状態=普通〜良い
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